腕
なぜかわからないけれど腕を切った
しかも友人の腕だった
痛そうにしていたけど何か薬が効いているみたい
片腕を切り終えると呻き声しかあげなかった
場所は良くわからないけれどドアの隙間があいていた
目が合った
古いホテルのただ広いだけのロビーの片隅に友人と友人の腕を置く
そしてロビーの鍵をしめて首からかける
誰かに聞かれた ○○さんはどこ?
私は腕を切り落とす前に探していたらしい
誰かに話しかけられた とっさにロビーに向かわないとまずいと思った
人ごみを掻き分けて やっとの思いでロビーにつくと誰も
誰もいなかった
なぜかすべてが終わったような気がした でも安心もあった
外にでて部屋に戻ると何年も会っていない友人が居た
どうしたの?授業始まるよ?
これからのことを思うとなにも手につかなかった
いつしか ロビーから消えた片腕の友人を探していた
たどり着いた先は屋上駐車場
屋上には沢山の人がいた
手をつなぎ上を見上げるカップル
寝転がってお腹の上で手を組み目を閉じている人
車の中で寝ている人
追いかけっこをする子供
沢山の人が いた
空がとても美しかった
PS:結局、友人は見つからなかった。私が腕を持って行っていない。
ただ、私がほしかったものは
腕がほしくて腕を切ったのではなく、腕のない人がほしかった。