亡骸

純粋な気持ちで白い窓を開けてみれば
その向こうには黒く重い空が広がっている

あまりにも幼すぎる私は窓から飛び降りる勇気はなかった

きっとそれはクリスマスケーキより甘く
溶け出したチョコレートよりも柔らかい私

全身に纏っているシースルードレスはガラスとカマキリの羽で出来ていて
彼女は空を飛べることはまだ知らなかった

窓から月を見つめるだけの生活が始まって
彼女はそのうちに動かなくなる

それが纏う美しいガラスのドレスは今でも
その部屋で輝き続ける