朝焼けの海 友人

f:id:yuki-mry:20150728101009j:plain

仲間の集まりがあるってきいて飛ばしてきた

 

私の地元からは遠い海

初めて会う海

 

集合時間は遅い時間だった

帰るのも遅くなるだろうって思って

明日の午前中は会社で休みを入れてもらった

 

海の匂いを感じてナビを横目でみれば目的地はもう少し

 

砂浜と道路を挟んでそびえるコンクリートの壁は高くて

向こう側へいける階段を探してた

しばらく壁に沿って走っていたら海の前までいける駐車場の入り口があって

車のテールランプがいくつか光ってる

 

集合場所を見つけたみたい

 

低いクラッチジャッジを響かせて緩やかな坂を下りれば

みんな一斉にこちらを見つめてた

誰がきたんだろって思ったのかな

中には私か私のマリアを指差して笑ってる人もいて

恐怖と嫌悪感と劣等感を感じた いやな感じだった

マリアは警戒してた

 

恐る恐る車を降りて たばこの香りがするほうへ行けば

中学からすこしだけ連絡を取り合っていた彼が居た

今回集まりをかけたのも彼だったみたいで歓迎してくれた

 

久しぶり、調子はどう?

 

軽い言葉と頬を赤らめた爽やかな笑顔で私に声を掛けてくれた

私は大きな声で話すことができなくて私の声は届かなかったみたい

それでも彼は気遣って それは良かったって小さく首を立てに揺らした

周りのみんなに声を掛けて私を紹介してくれた

よろしくってみんなに言われてとても恥ずかしかった

けれど 何かわくわくするような 心がゴムボールになったような気持ち

 

いろんな事を話して いろんな事をして 朝が近くまで来てた

潮風ですこし肌がべたついたけれど まぁいいかな

 

すこしずつ灯台と森のほうから徐々に空が明るくなってきた

ちょっとだけ空が恋しく思えた

 

空に差す白い白線は 風に揺られる雲を大きなキャンパスに浮かび上がらせて

美しく絵を描いてた

 

私が空を見ていたからか

他の名前を聞いたけど聞き取れなかった人や

私のことが嫌いそうなあの女の人も

私を誘ってくれた彼も

顎を上げて空を見てた

 

空きれー

 

誰かが他の誰かに知らせるように呟いた

 

話し声も消えてみんな空を見てた

ぶすぶすと燻るタバコの煙と不規則に砂浜に打ち付ける波の音だけが私たちを包んでいた

 

誰かがそろそろって感じを出し始めて

解散って話に

 

 

みんなが笑い合ったり抱き合ったりしてから車に乗り込む

 

私は最後に一言 言いたくって彼がトイレから出てくるのを待った

 

タバコを口に咥えて 一緒に車で来た人と出てきた

 

どしたの

 

彼の声には誘惑が絡んでいる 本能がそう思わせる

男性にしては低く

しっとりとした声を私の耳へ響かせる

 

感謝を告げた 呼んでくれたこと 紹介してくれたこと 声を掛けてくれたこと も 含めて全部

 

隣にいた友人はすこしはなれてあるいて  私に聞こえるように 冷やかしの言葉を飛ばしてた

彼は大きく口を開けて笑って 私の恥ずかしさを一蹴し じゃあまた誘う って笑って見せた  帰り道を気をつけろって彼の友達はウィンクを私に飛ばした

ちょっと寒いかな

 

走り去る車から私に声掛けてくれた私を嫌いそうなあの女の人  今度はゆっくり話そうよって 偏見は良くないよね

ウーファーの低い音を板金に響かせてみんな帰っていった

最後に走り去るのは私

 

血のように赤い マリアの頭をなでる

友達はできた?こうゆうのもたまにはいいよね マリア

大きく波が砕ける音が聞こえて 帰ろうって思った

 

マリアは私に答えて低い大きな唸り声を上げて走り出そうって私に言う

ステアリングを切りながら緩やかな坂道を上がって国道へ出る

 

止まりたくなかった

信号がずっと青で居てくれたら どんなに幸せだろう